建物を同族会社に賃貸して、同族会社が又貸しによって得た収入に比し極めて低額又は零円の賃貸収入を得ている場合において、所得税法第157条を適用して行為・計算を否認してされた更正は、適法であるとした事例
[所得税法][同族会社の行為又は計算の否認]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1994/06/24 [所得税法][同族会社の行為又は計算の否認] 請求人は、その所有する本件建物を同族会社であるA社及びB社に賃貸しているところ、[1]A社、B社とも、当該賃貸部分を各1社に又貸ししており、[2]両社の売上げは、いずれも、この又貸し料収入がすべてであり、[3]請求人に支払っている賃借料は、A社は又貸し料収入の半額以下、B社は零円であることが認められる。
両社の又貸し料収入から両社が支払った管理費実費負担額及び請求人に支払った賃借料を控除した金額を管理料相当額とし、その又貸し料収入の額に対する割合を管理料相当額割合として、比準同業者の平均管理料割合と比較すると、前者は後者をはるかに超える異常なものと認められるところ、請求人とA社、B社との間の賃貸借契約は、同族関係者であるが故に可能な行為又は計算であり、経済人としては不合理、不自然なものといわざるを得ない。
そこで、請求人の各年分の所得税額について比準同業者の平均管理料割合等により算出して計算した所得税額と請求人の確定申告による所得税額とを比較すると、両社の所得税額には著しいかい離があり、請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となっていると認められる。
したがって、所得税法第157条を適用して行為・計算を否認してされた更正は適法である。
平成6年6月24日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 建物を同族会社に賃貸して、同族会社が又貸しによって得た収入に比し極めて低額又は零円の賃貸収入を得ている場合において、所得税法第157条を適用して行為・計算を否認してされた更正は、適法であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>同族会社の行為又は計算の否認)
- 過大な不動産管理料につき所得税法第157条を適用して否認した更正は適法であるとした事例
- 請求人が同族会社から受領した土地の賃料が著しく低額であるとして、所得税法第157条を適用した更正処分は適法であるとした事例
- 審査請求人が営む不動産貸付けについて、同族会社1社への専属的な貸付けであり、本件貸付けの維持管理業務の程度が実質的には相当低いなどとして、不動産所得を生ずべき事業には当たらないとした事例
- 青色申告書に係る更正の理由附記に不備はなく、また、医療機器の支払リース料について、所得税法第157条“同族会社等の行為又は計算の否認”を適用して更正処分をしたことは相当とした事例
- 個人で病院を営む請求人が同族会社に支払った管理委託料は、当該同族会社と類似同業者の収受する管理委託料に比準して算定した適正管理料に比して不当に高額であるとして所得税法第157条の規定を適用した原処分は相当であるとした事例
- 請求人らが同族会社から受け取る土地建物管理運営契約に基づく賃貸料につき、所得税法第157条を適用した更正処分は適法であり、同条の適用に当たっては請求人らの役員報酬を考慮する必要はないとした事例
- 同族会社への不動産賃貸料につき、無利息の保証金に係る経済的利益を加算すると、必ずしも低額でないから、所得税法第157条の適用はないとの請求人の主張が排斥された事例
- 請求人の同族会社からの建物賃貸料収入が当該同族会社の又貸し賃貸料収入に比して余りに低額であるとしてなされた所得税法第157条による更正処分が適法であるとされた事例
- 請求人所有の本件土地上に赤字法人である同族会社に対して地上権を無償で設定した後に本件土地と地上権を第三者に譲渡した行為は、所得税法第157条に該当するとした事例
- 請求人が同族会社に賃貸した土地の賃料の額を容認した場合には、請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果になるとした事例
- 同族会社に支払った医療機器等の賃借料の額が過大であるとして、所得税法第157条を適用した更正処分は適法であるとした事例
- 建物を同族会社に賃貸して、同族会社が又貸しによって得た収入に比し極めて低額又は零円の賃貸収入を得ている場合において、所得税法第157条を適用して行為・計算を否認してされた更正は、適法であるとした事例
- 過大な不動産管理料につき、所得税法第157条を適用して否認した更正は適法であるとした事例
- 請求人が同族会社に支払った月額賃料と原処分庁が算定した類似建物月額賃料との差額が1.4倍ときん少であっても、所得税の負担を不当に減少させる結果となっているとして所得税法第157条の規定の適用をした課税処分は正当であるとした事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。