国内に住所及び居所を有しなくなった後に納税管理人の届出書が提出されても、所得税法上の出国をしたことになるから、出国後に提出された確定申告書は期限後申告とされるとした事例
[所得税法][申告、納付、還付、更正の請求の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2002/11/13 [所得税法][申告、納付、還付、更正の請求の特例] 請求人は、国税通則法第117条には納税管理人の届出期限が定められておらず、請求人は国内に住所及び居所を有しないこととなった時の後ではあるが、納税管理人の届出書を提出し、翌年3月15日までに確定申告書を提出しているのであるから、所得税法上の出国をしたことにならず、当該確定申告書は期限内申告書である旨主張する。
しかしながら、所得税法上の出国に当たるか否かは、所得税法第2条第1項第42号の規定により、請求人が国内に住所及び居所を有しないこととなった時までに納税管理人の届出書が提出されたか否かで判断すべきであるところ、請求人はその時までに当該届出書を提出しなかったのであり、所得税法上の出国をしたことになるから、出国後に提出された本件申告書は期限後申告書である。したがって、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、国内に住所及び居所を有しないこととなる時までに納税管理人の届出書が提出されるよう会計事務所に手配したが、会計事務所の担当者がたまたま出勤していなかったため、当該届出書は請求人が国内に住所及び居所を有しないこととなった時の後に提出されたとして、期限後申告となったことには国税通則法第66条第1項ただし書きの正当な理由がある旨主張する。
しかしながら、請求人の主張する事情は、請求人と担当者又は会計事務所との間の問題にすぎず、申告書を法定申告期限までに提出することを不可能とする真にやむを得ない理由に該当するとは認められないから、請求人の主張は採用できない。
平成14年11月13日裁決
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