遺産分割の際に支出した弁護士費用は、所得税法第38条に規定する「資産の取得に要した金額」には該当しないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2009/02/13 [所得税法][必要経費][譲渡所得][取得費] 所得税法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」には、当該資産の客観的価格を構成すべき取得代金の額のほか、登録免許税、仲介手数料等の当該資産を取得するために通常必要と認められる付随費用の額も含まれると解するのが相当であり、当該資産の維持管理に要する費用その他日常的な生活費ないし家事費に属するものはこれに含まれないと解するのが相当である。 そして、居住者が相続により取得した資産を譲渡したことにより、所得税法第60条第1項を適用して譲渡所得の金額を計算する場合において、相続人が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用、例えば、相続の場合の被相続人から相続人への名義変更に係る不動産登記費用も、同法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」に該当すると解される。 もっとも、遺産分割の際に支出した訴訟費用、弁護士費用等は、一般には相続人間の紛争を解決するための費用であることから、相続人が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用とはいえない。したがって、遺産分割の際に支出した訴訟費用、弁護士費用等は、所得税法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」に含まれる付随費用には該当しない。 本件弁護士費用は、本件共同相続人が本件相続に係る遺産分割を求めて申し立てた本件各遺産分割事件において、被相続人の代理人を務めた弁護士に対し、委任契約の報酬として支払われたものの一部である。
そうすると、本件弁護士費用は、遺産分割の際に支出した弁護士費用であるから、被相続人が本件土地を取得するために通常必要と認められる費用とはいえず、所得税法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」には該当しない。
平成21年2月13日裁決
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