請求人が、代表者の借地権に係る立退料として代表者が受領したものである旨主張する金員は、請求人が譲渡した本件不動産(借地権と建物)の譲渡価額に含まれるとした事例
[法人税法][所得金額の計算][益金の額の範囲及び計算]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1995/03/15 [法人税法][所得金額の計算][益金の額の範囲及び計算]請求人は、本件金員93,383,000円は、代表者の借地権に係る立退料であって、請求人に帰属するものではない旨主張するが、[1]本件不動産の譲渡価額は、当初、請求人と買主の間で本件金員を含む価額で合意していたこと、[2]国土法に基づく届け出は、[1]と合意価額でされたこと、[3]市長の指導により予定価格を変更したこと、[4]契約書は、変更後の価格で作成したが、当初の合意価額との差額は別途支払う旨の確約書が差し入れられていること、[5]本件金員は、代表者が受領し、領収書を発行しているが、市長の指導があった後、契約当事者を変更する合意があったとは認められないこと等からすると、本件不動産の譲渡価額は、当初に合意された価額が不変であったと判断される。
そうすると、本件不動産の譲渡価額は、本件金員を含む1,134,000,000円となる。
また、請求人は、借家人である代表者に当然支払われるべき立退料があるはずである旨の主張をするので、立退料の損金認容につき判断する。
代表者は本件建物に永年居住していたのであり、請求人が本件建物を譲渡するという請求人の事情により、これを明け渡すこととなったのであるから、何らかの支払があっても特に異とするにはあたらない。
しかし、[1]本件金員は約1億円と多額であるところ、これを立退料として支払うという明確な意思は、代表者による買主からの受領まで認めることはできないこと、[2]その金額は、国土法に基づく市長からの指導による引下げ額と同額であり、これを立退料として支払うべき合理的な説明がなされていないこと等からすると、本件金員は単に市長の指導に基づく引下げ分を給付したものにすぎず、本件金員の立退料としての支払を相当とするものではない。
また、請求人は、購入したマンションを権利金等なく賃貸していること及び引っ越し費用を負担していることからみても、これをもって立退料相当の経済的利益の供与は終了していると考えても不自然ではない。
平成7年3月15日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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