不動産賃貸借契約締結に当たって、差入保証金の一部を返還しないこととしていた契約を、後日、中途解約の場合にのみ当該一部を返還しない契約に改めた場合、既往において課税された差入保証金の返還不要部分は取り消されるべきであるとする請求人の主張を排斥した事例
[法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1988/04/08 [法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度]裁決事例集 No.35 - 87頁
不動産賃貸借契約の締結に当たって、「差入保証金のうち、10パーセント相当額を解約手数料として賃借人に返還しない。」旨の条項を含んだ契約をしておき、税務当局から指摘を受け、課税された後に、契約当初にさかのぼって当該条項を「中途解約の場合にのみ、解約手数料として、差入保証金の10パーセント相当額を返還しない。」と改めたから、既往各事業年度分の所得金額の計算上、差入保証金のうち、返還不要部分として益金の額に算入され、課税された部分は取り消されるべきであるとする請求人の主張について、法人の各事業年度の所得金額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算するものとされているが、この会計処理の基準によれば、所得の金額の計算の基礎となった事実について、その事業年度経過後にその事実を変更する事由が生じた場合には、その事由が生じた事業年度の損益として認識し、既往の事業年度にさかのぼって所得の金額を修正すべきでないとされている。
したがって、本件契約変更前の定めに従い、解約手数料相当額を契約締結時の益金の額に算入した更正は相当であり、請求人の主張には理由がない。
昭和63年4月8日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 不動産賃貸借契約締結に当たって、差入保証金の一部を返還しないこととしていた契約を、後日、中途解約の場合にのみ当該一部を返還しない契約に改めた場合、既往において課税された差入保証金の返還不要部分は取り消されるべきであるとする請求人の主張を排斥した事例
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