請求人が行った外国為替証拠金取引に係るスワップポイントの収入すべき時期は、請求人の通貨証拠金取引口座に累積された時であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/11/29 [所得税法][収入金額][収入すべき時期] 請求人は、L社との外国為替証拠金取引(本件FX取引)において円と外国通貨との金利差から生じる本件スワップポイントに係る収入金額を雑所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき時期は、本件スワップポイントが未実現評価損益と同様であること、L社から請求人への支払は余剰の証拠金の返還であること、スワップポイントに係る利益損失はFX取引が決済された時でなければ確定しないことから、本件FX取引が決済された時である旨主張する。
しかしながら、請求人がL社との間で合意した約款には、L社に開設した請求人の本件取引口座が益勘定となった場合は、請求人がその利益金を預り証拠金に振り替えるか、請求人の指定銀行口座に振り込むかを選択をすることとなっていること、L社の取引ガイドによれば、スワップポイントは、外貨と円との金利差であり、この金利差額が本件取引口座に積み立てられること、L社のパンフレット及び商品取引概要には、1か月分のスワップポイントの合計額が翌月10日に顧客の口座に振り込まれることが記載されていたこと、実際にも、本件スワップポイントの1か月分の合計額が、請求人に定期的に通知され、請求人の預金口座に振り込まれており、この事実は、上記のパンフレットや商品取引概要の内容に合致することからすると、本件FX取引の内容は、請求人がL社との間でFX取引を行い、その際、1日当たり一定の割合の本件スワップポイントの受払を合意し、日々計算された本件スワップポイントの額が本件取引口座に累積された後、請求人名義の銀行預金口座に振り込まれる内容の契約とみることが相当である。そうすると、本件スワップポイントに係る収入は、日々計算され本件取引口座に累積された時に確定的に生じたものと認められる。
以上のことから、本件スワップポイントについては、日々計算され本件取引口座に累積された時に収入の原因たる権利が確定したというべきであり、本件スワップポイントに係る収入金額を雑所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき時期は、日々計算され本件取引口座に累積された時であると認めるのが相当である。
《参照条文等》 所得税法第36条第1項
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が行った外国為替証拠金取引に係るスワップポイントの収入すべき時期は、請求人の通貨証拠金取引口座に累積された時であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>収入金額>収入すべき時期)
- 勤務先の株式報酬制度に基づいて支給された株式に係る給与所得の収入すべき日は、当該報酬制度による株式を無償で取得する権利(アワード)に係る株式が口座に入庫された日が相当と判断した事例
- 歯列矯正装置の装着時に請求し、受領している矯正施術料は、その全額が請求の時の収入金額となるとし、3年間に配分すべきであるとする主張を排斥した事例
- 外国特許事務に係る弁理士報酬の収入金額の確定の時期は依頼者の検収が終了した時点であるとした事例
- 適格退職年金制度の終了に伴い信託銀行が供託した年金基金の分配金として支払われる一時金に係る収入すべき時期は、当該制度の終了に関する裁判上の和解が成立した日ではなく、年金信託契約が解除された日であるとした事例
- 不動産の譲渡所得が譲渡に関する契約の効力発生の日の属する年に帰属するとした事例
- 国が請求人所有土地を駐留軍用地として10年間強制使用するについて請求人に対し損失補償金として一括で支払われた10年間の地代の収入すべき時期は、収用裁決に基づく請求人所有土地明渡しの日及び損失補償金全額の受領の日の属する年分であるとした事例
- 請求人が合名会社を退社するに当たり受領したみなし配当所得の収入すべき時期は、退社することについて総社員の同意があった日であり、年賦で支払われるものであっても、その全額が一括して課税されるとした事例
- 当初売買契約の対象物件である土地の一部を分筆して引き渡した土地に係る課税年分は、当初売買契約対象物件の引渡しが完了した日の属する年分ではなく、当該引渡しがあった日の属する年分であるとした事例
- 賃借人から土地賃貸借契約の終了に伴い原状回復費用名目で受領した金員は、その土地賃貸借契約の終了した日の属する年分の不動産所得の収入金額であると認定した事例
- 二つの物件の譲渡に関し、一つは覚書に基づき翌年に所有権移転の登記をしても、その譲渡所得の帰属年分は他の一つの物件を譲渡した年分であるとした事例
- 本件土地は、本件契約書に記載された引渡しの時期に関する条項の文言にかかわらず、本件契約の締結時に引渡しがあったと認定した事例
- 外国為替証拠金取引における反対売買により決済が行われるまでの持高ないしは保有高について、営業日ごとの評価替により生じた為替差損益は、その時点で損益が確定するとした事例
- 土地の売買契約の締結日において、前受金等として売買代金の3分の2に相当する金額が授受され、所有権移転登記に必要な書類の全てが引き渡されるとともに、同日所有権移転登記もなされている本件において、土地の引渡しは同日になされているものと認められ、当該土地の譲渡所得は、同日に発生するとした事例
- 退職年金の初回支給額振込通知書の送達が翌年であっても、その初回支給額は国家公務員共済組合法に定める支給日に確定するとした事例
- 分筆して譲渡した農地に係る課税年分はそれぞれ分筆後の農地の所有権が移転した日の属する年分であるとした事例
- 売買契約をした土地のうち一部の引渡しが不能になった場合において、引き渡した部分についてのみ譲渡があったものと認定した事例
- 譲渡所得の帰属年分は、甲契約を締結した日の属する年分ではなく、甲契約を締結して代金全額を受領するとともに、所有権移転登記を了した日の属する年分であるとした事例
- 土地の賃貸料につき増額要求する訴訟の係属中において供託された当該賃貸料の収入すべき時期は、供託された日であるとした事例
- 外国為替証拠金取引における収入すべき時期は、反対売買により決済した時等によるとした事例
- 請負契約に係る収入金額の収入すべき時期は、役務の提供の完了した日とした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。