請求人が受領している適格退職年金に係る原資の拠出者が、勤務していた法人、請求人のいずれであるかが争われた事例
[所得税法][所得の種類][雑所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2000/07/07 [所得税法][所得の種類][雑所得] 請求人が従前勤務していた法人(以下「本件法人」という。)において加入していた適格退職年金制度の掛金等の負担について、退職手当規程上、当該退職年金制度の加入者が定年により退職した場合、退職手当の金額からその基準額の全額を控除すると規定されているのみで、基準額と退職年金制度の原資との関係について明文で定めた規定は見当たらない。
しかしながら、[1]基準額は年金の原資に「移行」することとされていること、また、年金月額の算定方法が基準額の算定方法と相応していることからすると、当該退職年金制度の加入者についてみる限り、その基準額に相応する金額が年金の原資として本件法人により継続的に拠出され年金資産となっているものと解されること、[2]請求人の署名、押印のある退職年金給付申請書をみても、年金についての従業員の拠出総額を零円と記載していること、[3]本件法人の経理処理上も基準額相当額については会社拠出金として処理されていること、[4]そもそも適格退職年金制度においては、退職の際、当該制度の加入者の退職年金の原資となる掛金が加入者に帰属しないことを前提として、退職年金の実際の支給時に課税されていることを考え併せると、本件の年金原資の拠出者(負担者)は請求人でなく、本件法人であると認めるのが相当であり、請求人が受領している退職年金は雑所得の収入金額となる。
平成12年7月7日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が受領している適格退職年金に係る原資の拠出者が、勤務していた法人、請求人のいずれであるかが争われた事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>所得の種類>雑所得)
- 有価証券の売買による所得が事業所得ではなく雑所得であるとした事例
- ゴルフ場を経営する法人から謝礼として提供を受けたゴルフ会員証を継続的に譲渡したことによる所得は、一時所得に該当せず、雑所得に該当するとした事例
- 本件競走馬の保有等は事業所得の基因となる事業に当たらないとした事例
- 覚せい剤の密輸入、密売に係る所得についての所得税の決定は適法であるとした事例
- 有価証券の売買による所得を雑所得とした事例
- 値下がりしている保有株式を売却すると同時に、同一銘柄の株式を同株数、同価額で購入する取引によって生じた売却損について、これを租税回避行為として否認することはできないとした事例
- 請求人が裁判上の和解により取得した職務発明に係る和解金は、譲渡所得ではなく、雑所得に該当するとした事例
- 請求人が受領している適格退職年金に係る原資の拠出者が、勤務していた法人、請求人のいずれであるかが争われた事例
- 請求人は貸金業の登録はしているものの、請求人の金銭の貸付行為は、営利を目的とした社会通念上の事業として行われているとは認め難いとした事例
- 本件競走馬の保有は事業所得の基因となる事業に当たらないとした事例
- 新株予約権の行使に伴い生じた経済的利益は雑所得に該当し、また、新株予約権の取得についての情報提供者に支出した手数料は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例
- 有価証券の売買及び商品先物取引により生じた損失を雑所得を生ずべき業務から生じた損失の額と認定した原処分を適法とした事例
- 商品先物取引の所得について、事業所得ではなく雑所得に当たるとした事例
- 商品先物取引により生じた損失の所得区分は雑所得に属するとした事例
- 請求人と雇用関係にない会社から付与された新株予約権の行使に係る経済的利益は、一時所得ではなく雑所得と認めた事例
- 還付加算金は損害賠償金に類する非課税所得ではなく雑所得に該当するとした事例
- 請求人の本件不動産の譲渡による所得は、営利を目的として継続的に行ったものと認めるのが相当であるから、譲渡所得に該当せず、かつ、その売買は、社会通念上事業と認めるに足りないので、事業所得ではなく雑所得に該当するとした事例
- 職務発明・考案に係る権利の譲渡の対価として支払われた和解金については、職務発明に関する「相当の対価」の追加分として受け取ったものと認められることなどから、譲渡所得に該当せず、雑所得に該当するとした事例
- a国で出資・設立したリミテッド・パートナーシップ(LPS)を介して請求人が得た損益は、当該LPSが利益の処分として行ったものではないから配当所得に当たらず、また、当該LPSが不動産賃貸を目的とする民法上の組合ということができず、請求人が主体的に本件不動産を賃貸に供していたと認められないので不動産所得に当たらないとし、請求人が当該LPSから得た分配金は出資金に対する果実であるから、雑所得に当たるとした事例
- 勤務する内国法人と資本関係がない外国法人から請求人に対し付与された株式購入選択権の行使に係る経済的利益が、所得税法第35条に規定する雑所得に該当するとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。