解散による清算所得の金額の計算において、残余財産の価額から控除する利益積立金額等の金額がマイナスの場合には、これを零円として計算することはできないとした事例
[法人税法][清算所得に対する課税]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2009/11/27 [法人税法][清算所得に対する課税] 請求人は、利益積立金額等がマイナスの場合にその金額を零円として清算所得の金額を算定しないということは、過年度の損失であるマイナスの利益積立金に対し清算時に課税することといえ、これは、清算前の通常の事業年度でも課税しない損失に対して課税することを意味するものであり、また、資本金に対して課税することと同義であり、所得に対して課税するという法人税の根幹に反するものとなる旨主張する。
しかしながら、清算の過程で実現したいまだ課税されていない資産の含み益のうち、いわゆる累積欠損金に相当する金額について課税するかしないかは制度上の問題であり、現行法人税法上、清算所得の計算において解散の時におけるマイナスの利益積立金額を零円とする特段の規定は存在しないところ、この計算の下で算出された清算所得の金額は、いわば法人が解散するまでに稼得した部分の金額でいまだ課税されていない資産の含み益にすぎないのであるから、この含み益には株主からの投下資本に相当する部分は含まれていないと解するべきであり、請求人の主張には理由がない。
平成21年11月27日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 解散による清算所得の金額の計算において、残余財産の価額から控除する利益積立金額等の金額がマイナスの場合には、これを零円として計算することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>清算所得に対する課税)
- 解散による清算所得の金額の計算において、残余財産の価額から控除する利益積立金額等の金額がマイナスの場合には、これを零円として計算することはできないとした事例
- 破産法人の清算中の事業年度の予納申告の課税の計算において、利子に対する源泉所得税の額を更正処分に係る法人税の額から控除することは、破産法第104条に規定する相殺には該当せず適法であるとした事例
- 合併法人の合併前における被合併法人の株式取得が被合併法人の清算所得の金額を不当に減少させる結果になると認定した事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。