期末現在において未収になっている工事代金等は、損害賠償請求権を行使し、その支払いを受けるべきことが確定した事業年度の益金ではなく、請負工事の完了した日の属する事業年度の収益であるとされた事例
[法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1999/06/28 [法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度] 請求人は、本件請負工事等を発注したF遺跡調査会は本件請負工事代金等を支払わないまま解散しており、請求人が本件請負工事代金等相当額を得るためには、F遺跡調査会に工事等を委託していたP市又はF遺跡調査団の調査主任であったHに対して損害賠償をするしかないことからすると、本件請負工事代金等相当額の収益計上時期は、工事等を行った事業年度ではなく法人税基本通達2−1−37に規定するように、損害賠償金の支払いを受けるべきことが確定した日又はその支払いを受けた日を含む事業年度である旨を主張する。
しかしながら、[1]本件請負工事等は、いずれも請求人において本件事業年度中に実際に施工等が行われ、完了し、引渡しを了していること、[2]本件請負工事等に係る原価が、本件事業年度の請求人の所得の金額の計算上損金の額に算入されていること、[3]本件請負工事等については、出来高払いの契約であったと認められること、[4]本件工事等のうち請求人において収益に計上済の工事もあるが、それらはいずれも月単位で請求され月単位で収益に計上されており、また、請求人が請け負った他の工事についても月単位で計算する商慣習となっていたことが認められることからすれば、本件請負工事代金等相当額が請求人のもとに入金されていたかどうかにかかわらず、本件請負工事代金等は、本件請負工事等の完了した日の属する本件事業年度の収益と解するのが相当である。
平成11年6月28日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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