担保権付不動産の贈与を受けた場合における国税徴収法第39条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、当該担保権の存在を減額要因として認めなかった事例
[国税徴収法][第二次納税義務][無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2008/10/22 [国税徴収法][第二次納税義務][無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務] 請求人は、請求人が夫から贈与を受けた不動産には担保権が設定されており、いつ担保権を実行されるかもしれない状況にあったこと、また、その後、当該担保権の被担保債権について請求人が保証したことから、当該贈与時における当該不動産の価額は零円であり、したがって、国税徴収法第39条の受けた利益も零円となるから、請求人が負うべき第二次納税義務はない旨主張する。
しかしながら、贈与を受けた不動産に担保権が設定されていたとしても、一般に、担保権が実行されるか否かは不確実であり、また、担保権が実行されたとしても債務者に求償することが可能であるから、受贈者が贈与とともに債務を引き受けた場合や贈与を受けた時に債務者が弁済不能の状態にあるため担保権を実行されることが確実であり、かつ、債務者に求償しても弁済を受ける見込みがないという場合を除き、担保権が設定された贈与不動産の価額は、担保権が付されていないとした場合の不動産の時価によるべきところ、請求人及び夫にはこれらの事情が認められず、また、債務を保証したとしても、当然に債務を引き受けたことにはならないので、請求人が当該贈与により受けた利益の額は当該不動産の時価となり、その価額を財産評価基本通達により算定すると、請求人が贈与税の課税価額として申告した額と同額になる。そうすると、請求人は、贈与価額を限度として、夫の滞納国税に係る第二次納税義務を負うことになるから、請求人の主張には理由がない。
平成20年10月22日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 担保権付不動産の贈与を受けた場合における国税徴収法第39条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、当該担保権の存在を減額要因として認めなかった事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(国税徴収法>第二次納税義務>無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
- 滞納者が行った集合住宅の売却について、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等に該当するとした事例
- 会社法第757条の規定に基づく吸収分割によって滞納法人の事業を承継した請求人は国税徴収法第38条の規定による第二次納税義務を負うとした事例
- 請求人が納税者から不動産を譲り受けたことが、国税徴収法第39条に規定する「著しく低い額の対価による譲渡」に当たらないとした事例
- 滞納者の詐害の意思の有無は、国税徴収法第39条の第二次納税義務の成立要件ではないとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・棄却・平成27年1月19日裁決)
- 離婚9か月前にした妻に対する土地建物の贈与が国税徴収法第39条に規定する無償譲渡に該当しないとした事例
- 請求人と滞納会社が共同して売却した本件不動産(土地は各別に所有、建物は共有)の売却代金について、不動産の持分に応じて配分を受けるのが相当であるから、請求人は受けた利益を限度として滞納国税につき第二次納税義務を負うとした事例
- 財団法人に対する寄附は、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等に当たるとした事例
- 滞納者が請求人に対してした離婚に伴う財産分与及び子の監護費用分担額の一時の支払につき、不動産を給付した上で保有し得た財産の2分の1に相当するまでの金額については、不相当に過大と認めることはできないが、これを超える部分については、不相当に過大なものとして国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等処分に該当するとした事例
- 請求人の預金口座に入金された滞納者が受領すべき譲渡代金の一部については、当該預金口座の入出金状況等から当該金員が請求人の処分権限内に移転したとはいえず、滞納者から請求人への財産の無償譲渡があったということはできないとした事例
- 国税徴収法第39条の規定による第二次納税義務を負う受贈者が相続時精算課税制度を選択したことによって財産の贈与を受けた後に納付すべきこととなる相続税は、同条の受けた利益の額を算定するに当たって受益財産の価額から控除することはできないとした事例
- 第二次納税義務に係る租税債務が成立した時点において無限責任社員であった者は第二次納税義務を負うと解するのが相当であるとした事例(不動産の差押処分・棄却・平成25年12月2日裁決)
- 滞納者の預金口座から出金された金銭が請求人の預金口座に入金されたことは、国税徴収法第39条の無償譲渡には該当しないとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・全部取消し・平成26年1月7日裁決)
- 請求人が受領した滞納会社の売掛金のうち、滞納会社の従業員に対する給与に充てられた部分以外の部分は、国税徴収法第39条の無償譲渡等の処分によるものであるとした事例
- 妻名義で購入した不動産は、自己資金により購入した固有財産であると認定することにより無償譲渡に該当しないとした事例
- 滞納会社の家賃収入計上漏れ等により生じた簿外の金員を取得した代表者に対する第二次納税義務の告知処分は相当であるとした事例
- 新株発行による増資は差押処分の処分禁止効には抵触しないとして、増資後の株式総数を基に第二次納税義務の限度額を算定するとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・一部取消し・平成25年12月9日裁決)
- 贈与があったことを前提としてなされた第二次納税義務告知は、受領した金員の性質を誤認したものであり、取り消しするのが相当であるとした事例
- 担保権付不動産の贈与を受けた場合における国税徴収法第39条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、当該担保権の存在を減額要因として認めなかった事例
- 「滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」に該当しないとする請求人の主張を排斥した事例
- 滞納者を契約者兼被保険者とし、保険金受取人を請求人とする生命保険契約に基づいて死亡保険金を受領した請求人は、国税徴収法第39条の規定により、滞納者が払込みをした保険料相当額の第二次納税義務を負うとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。