請求人に相続による納付義務の承継があったことを前提として行われた本件差押処分について、請求人が相続放棄をしているから違法である旨の主張が認められなかった事例
[国税通則法][総則]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1998/02/19 [国税通則法][総則] 請求人は、被相続人の死亡当時被相続人と住所を同じくしており、また、請求人が被相続人の死亡当日に死亡届出を行っているのであるから、被相続人の死亡の日にその事実を知ったものと認めるのが相当である。
また、請求人らがJセンターへ売却した不動産は、被相続人の死亡により相続財産となり、平成7年3月31日受付で相続を原因として請求人の法定相続分とは異なる持分による所有権移転登記がなされているから、請求人は、遅くとも当該登記受付の日までに、遺産分割協議書に署名捺印することにより被相続人が死亡した事実を知ったことになる。
以上のとおり、請求人は民法第921条第2号に規定する同法第915条第1項の期間内に相続の放棄をしなかったときに該当するから、請求人がW家裁に相続放棄申述書を提出してなした相続の放棄は、同家裁の受理審判にかかわらず、それが効力を有するための実体的要件を欠いて無効であり、同法第921条の規定により単純承認したものとみなされる。
したがって、請求人は、民法第920条の規定により、無限に被相続人の権利義務を承継し、相続人として国税通則法第5条第1項及び第2項の規定に基づき、法律上当然に被相続人の滞納国税のうち請求人の法定相続分である4分の1の額725,825円を承継し、この納付義務を負う。
また、本件差押処分の手続に違法な点はない。
平成10年2月19日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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