相続税更正処分取消請求控訴事件|平成1(行コ)70
[納付義務者][納税義務者][相続税法][債務控除]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成4年2月6日 [納付義務者][納税義務者][相続税法][債務控除]判示事項
1 書面によらない贈与に基づく債務は,相続税法14条1項にいう「確実と認められるもの」に当たるか 2 贈与者が贈与税を実質負担する旨の書面によらない合意に基づく債務が,相続税法13条1項1号の債務控除の対象として認められた事例 3 受贈者との間で贈与税を負担する旨の合意をした贈与者が,当該贈与をした暦年の終了する前に死亡した場合,当該合意に基づく債務は相続税法14条1項にいう「確実と認められるもの」に当たるか裁判要旨
1 書面によらない贈与に基づく債務は,定型的に相続税法14条1項にいう「確実と認められるもの」に当たらないということはできず,諸般の状況からみて取消権の行使がされず,その債務が履行されることが確実であると認定できる場合は,これに当たる。 2 贈与者が受贈者との間で当該贈与に係る贈与税を負担する旨の書面によらない合意をした場合につき,贈与者が相続税法34条4項所定の連帯納付義務者として自ら贈与税を納付することを約束するとともに,それにより贈与者に求償権が発生する場合はこれを放棄するという趣旨の合意ではなく,本来の納税義務者である受贈者が贈与税を納付するが,贈与者は,贈与税に相当する金額を受贈者に贈与することによって,贈与税を実質的に負担するという趣旨の合意であると認定した上,この合意に基づく債務は,当該相続時点において,その存在及び履行が確実であったとして,同法14条1項にいう「確実と認められるもの」に当たり,同法13条1項1号により当該贈与税相当の額を相続税の課税価格から控除すべきであるとした事例 3 贈与税の課税価格は,1暦年中に贈与により取得した財産の価額の合計額であるので,贈与税の具体的な総額は暦年の終了時にならないと確定しないが,特定の贈与に係る贈与税額は,受贈者に対し,同じ暦年中に他の贈与があった場合に累進税率のため贈与税額が高くなることはあっても,他の贈与がなかった場合の贈与税額を下回ることはないから,当該特定の贈与につき贈与税を負担する旨の合意をした贈与者が当該贈与をした暦年の終了する前に死亡した場合においても,当該暦年中に当該贈与以外の贈与はなかったものと仮定して算出した贈与税の額は確実に当該合意に基づく債務の内容となっているということができ,当該債務は相続税法14条1項にいう「確実と認められるもの」に当たる。- 裁判所名
- 東京高等裁判所
- 事件番号
- 平成1(行コ)70
- 事件名
- 相続税更正処分取消請求控訴事件
- 裁判年月日
- 平成4年2月6日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 相続税更正処分取消請求控訴事件|平成1(行コ)70
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(納付義務者>納税義務者>相続税法>債務控除)
- 林道工事に係る受益者負担金は、その納入通知が相続開始後になされているので債務控除の対象にならないとした事例
- 相続開始後に成立した和解に基づく債務は相続税法第14条に規定する債務に該当しないとした事例
- 未分割遺産に係る相続税の課税価格の計算は、いわゆる穴埋方式によるべきであるとした事例(平成22年5月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成27年6月3日裁決)
- 被相続人の損害賠償債務は、制限納税義務者である請求人の相続税の課税上、控除すべき債務には当たらないとした事例
- 遺産分割協議時に、共同相続人間で分割協議対象財産として認識されていない財産があった場合には、遺産分割協議書に「本書に記載のない財産は特定の者に帰属する」旨の記載があったとしても、当該財産は未分割財産とみるのが相当であるとした事例
- 請求人が、被相続人の財産から親族に支払った金員は、相続開始後に成立した贈与契約に基因するもので、相続開始の際に現に存する確実な債務ではないとした事例
- 使用人に対する退職金債務 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所 本文へジャンプします サイト内検索 検索の仕方 利用案内 サイトマップ 関連リンク ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 相続税法関係 >> 使用人に対する退職金債務 「関係税法」を選択すると、該当の税法関係の事例選択ページに移動します。menu("相続税法関係")| 閲覧方法 | 相続税の課税価格の計算 使用人に対する退職金債務 分割財産に係る課税価格 非課税財産 債務控除 借入金 敷金、保証金等 判決、訴訟上の和解による債務 物上保証、連帯債務等 使用人に対する退職金債務(1件) 保証債務 その他 相続開始前3年以内の贈与 その他 被相続人の事業を承継した相続人が従業員等に支払った被相続人時代の退職金は相続債務ではないとした事例
- 実際に負担する金額が確定していない葬式費用は、民法第900条から902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合で計算すべきとした事例
- 遺贈に対して遺留分による減殺請求がなされている場合であっても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、受遺者の課税価格はそれがないものとして計算した金額によるとされた事例
- 相続開始時において、主たる債務者は返済不能の状況に至っていないので、被相続人の保証債務額は、債務控除の対象にならないとして請求人の主張を排斥した事例
- 無利息の預り保証金及び敷金に係る債務控除額は、その元本価額から、通常の利率による返還期までの間に享受する経済的利益の額を控除した額によるのが相当であるとした事例
- 相続開始前3年以内に贈与により取得した財産は贈与税の更正・決定等の期間経過後であっても相続税の課税価格に加算すべきであるとした事例
- 請求人が被相続人から承継した連帯保証債務は、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」には当たらず、債務控除の対象とならないとした事例
- 団体信用生命保険契約に基づき被相続人の死亡を保険事故として支払われる保険金により充当される被相続人の債務は債務控除の対象にならないとした事例
- 原処分庁が配偶者が取得したと主張する財産は、遺産分割協議以前より存在し、当該遺産分割協議で子が取得したものと認めるのが相当であるから、配偶者が相続により取得した財産はなく、相続税法第19条に規定する相続開始前3年以内の贈与加算の適用もないとした事例
- 遺言執行者に対する報酬(遺言執行費用)支払債務は、相続税法第13条に規定する債務に該当しないとした事例
- 相続人らから本件被相続人への本件各金員の支出は、本件被相続人が相続税対策のために相続人らに贈与を行っていたことなどからすると、相続人らから本件被相続人への贈与であったとみることは困難であるから、本件各金員は、相続人らから本件被相続人に貸し付けられたものと認められるとした事例
- 被相続人と受遺者との連帯債務につきその全額を債務控除すべきであるとした事例
- 遺産分割協議は有効に成立しており、当該遺産分割協議に基づく決定処分は違法とは認められないとした事例
- 判決によって給付を命じられた不当利得返還債務の額は相続税法第14条に規定する確実と認められる債務に該当するとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。