相続税更正処分等取消請求事件|平成2(行ウ)184
[相続税法][財産の評価]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成4年7月29日 [相続税法][財産の評価]判示事項
1 相続税法22条の定める「当該財産の取得の時における時価」を相続税財産評価に関する基本通達(昭和39年4月25日直資56,直審(資)17国税庁長官通達,平成3年12月18日課評2−4課資1−6により「財産評価基本通達」と題名改正,同題名改正前)の定める評価方式以外の方法で評価することの可否 2 相続開始直前に被相続人が多額の金員の借入れを行って土地を取得し,相続開始後に相続人が当該土地を売却して借入金を返済した場合における当該土地の相続財産としての評価につき,客観的な市場価格を算定してした相続税更正処分等の取消請求が棄却された事例 3 相続税法22条の定める「当該財産の取得の時における時価」の意義と租税法律主義裁判要旨
1 相続税法22条の定める「当該財産の取得の時における時価」とは相続開始時における当該財産の客観的な交換価格をいい,必ずしも一義的に確定され得るものではなく,一定の幅を持った概念として理解されるべきものであるところ,相続税財産評価に関する基本通達(昭和39年4月25日直資56,直審(資)17国税庁長官通達,平成3年12月18日課評2−4課資1−6により「財産評価基本通達」と題名改正,同題名改正前)による評価額もその一つの具体的な価額にとどまるものの,同通達に定める方式以外の方法によって相続財産の評価を行うことは,租税平等主義の観点から原則として許されないが,同通達による評価方式を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって,富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反し,実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかである等の特別な事情がある場合には,例外的に他の合理的な方式によることが許される。 2 相続開始直前に被相続人が多額の金員の借入れを行って土地を取得し,相続開始後に相続人が当該土地を売却して借入金を返済した場合につき,当該行為は,相続税財産評価に関する基本通達(昭和39年4月25日直資56,直審(資)17国税庁長官通達,平成3年12月18日課評2−4課資1−6により「財産評価基本通達」と題名改正,同題名改正前)に定められた方法による評価額と現実の取引価額との間に生じている開差を利用して相続税の負担の軽減を図るという目的で行われたものであり,同通達によらないことが許される特別の事情があるから,相続税法22条の「時価」として,同通達によらず,当該土地の取得価額を基準に客観的な市場価格を算定してした相続税更正処分等は適法であるとして,同処分等の取消請求が棄却された事例 3 相続税法22条の定める「当該財産の取得の時における時価」が一定の幅を持った概念と解されるからといって,このことから直ちに同条の規定が租税法律主義の要請に反するとまですることは困難である。- 裁判所名
- 東京地方裁判所
- 事件番号
- 平成2(行ウ)184
- 事件名
- 相続税更正処分等取消請求事件
- 裁判年月日
- 平成4年7月29日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
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