所得税更正処分等取消請求控訴事件|平成10(行コ)108
[所得税法][譲渡所得][相続税法][租税特別措置法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成11年6月21日 [所得税法][譲渡所得][相続税法][租税特別措置法]判示事項
1 土地等の資産の譲渡に際し,譲受人から別の土地等の資産を買い受けるとともに,各売買契約代金の相殺後の残金として金員の交付を受けた者の譲渡所得金額の算定に当たり,前記各売買等の一連の取引を交換契約と認定し,買い受けた資産の時価及び交付を受けた金額の合計額を譲渡収入金額としてした所得税の更正が,違法とされた事例 2 土地等の資産の譲渡に際し,譲受人から土地等の資産を買い受けるとともに,各売買契約代金の相殺後の残金として金員の交付を受けた者の死亡に伴う相続税の課税価格の算定に当たり,前記各売買等の一連の取引を交換契約と認定し,租税特別措置法(平成8年法律第17号による改正前)69条の4第1項所定の「取得価額」を譲渡した資産の譲渡当時の時価としてした相続税の更正が,違法とされた事例裁判要旨
1 土地等の資産(以下「譲渡資産」という。)の譲渡に際し,譲受人から別の土地等の資産(以下「取得資産」という。)を買い受けるとともに,各売買契約代金の相殺後の残金として金員の交付を受けた者の譲渡所得金額の算定に当たり,前記各売買等の一連の取引を交換契約と認定し,取得資産の時価及び交付を受けた金額の合算額を譲渡収入金額としてした所得税の更正につき,前記一連の取引の当事者が譲渡資産及び取得資産の各別の売買契約とその各代金の相殺という法形式を採用したのは,譲渡資産の譲渡による税負担を軽減するためであったことが推認されるが,前記法形式が仮装のものであったとはいえず,また,租税法律主義の下では,法律の根拠なしに,当事者の選択した法形式を通常用いられる法形式に引き直し,これに対応する課税要件が充足されたものとして課税することが認められているものではないから,前記取引を取得資産及び交付を受けた金員と譲渡資産との交換契約とみて課税することは許されず,同取引が交換契約であるとの認定を前提とする前記更正は所得金額及び税額を過大に認定したものであるとして,これを違法とした事例 2 土地等の資産(以下「譲渡資産」という。)の譲渡に際し,譲受人から土地等の資産(以下「取得資産」という。)を買い受けるとともに,各売買契約代金の相殺後の残金として金員の交付を受けた者の死亡に伴う相続税の課税価格の算定に当たり,前記各売買等の一連の取引を交換契約と認定し,相続開始前3年内に被相続人が取得した財産に係る評価の特例を規定した租税特別措置法(平成8年法律第17号による改正前)69条の4第1項所定の「取得価額」を譲渡資産の譲渡当時の時価としてした相続税の更正につき,前記一連の取引の当事者が譲渡資産及び取得資産の各別の売買契約とその各代金の相殺という法形式を採用したのは,譲渡資産の譲渡による税負担を軽減するためであったことが推認されるが,前記法形式が仮装のものであったとはいえず,また,租税法律主義の下では,法律の根拠なしに,当事者の選択した法形式を通常用いられる法形式に引き直し,これに対応する課税要件が充足されたものとして課税することが認められているものではないから,前記取引を交換契約とみて課税することは許されず,同取引が交換契約であるとの認定を前提とする前記更正は相続税の課税価格及び税額を過大に認定したものであるとして,これを違法とした事例- 裁判所名
- 東京高等裁判所
- 事件番号
- 平成10(行コ)108
- 事件名
- 所得税更正処分等取消請求控訴事件
- 裁判年月日
- 平成11年6月21日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分等取消請求控訴事件|平成10(行コ)108
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関連する裁決事例(所得税法>譲渡所得>相続税法>租税特別措置法)
- 請求人らから同時にされた各共有地の持分移転登記申請については、その各土地は共同で競落したことに基因しているもので、1筆の共有地からの同一事件に係る分筆登記によって生じたものではないから、租税特別措置法第84条の4第2項の適用はないとした事例
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- 農地を雑種地に地目変更の上宅地造成して譲渡した土地は事業用資産に当たるとした事例
- 譲渡した家屋は、隣接家屋が市に買収されたため居住しなかったとしても、租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当しないとした事例
- 空家の期間が1年を超える居住用家屋の譲渡について租税特別措置法第35条の規定を適用できないとした事例
- 共同相続人や遺産の範囲は確定しており、客観的に遺産分割ができ得る状態であったから、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分は適法であるとした事例(平成21年4月相続開始に係る相続税について遺産が未分割であることにつきやむを得ない事由がある旨の各承認申請の各却下処分・棄却・平成26年6月2日裁決)
- 委託販売による仲介料は課税土地譲渡利益金額の計算上土地の譲渡等に係る収益の額から控除する譲渡原価には含まれないとした事例
- 租税特別措置法第37条の課税の特例を適用して確定申告書を提出した者が、その後に当該特例の適用を取りやめる旨の修正申告書の提出をすることはできないとした事例
- 試験研究費の額が増額した場合等の法人税の特別控除(租税特別措置法第42条の4)について、修正申告により増加した法人税額に対応する控除の増額は認められないとした事例
- 夫婦共有の居住用財産を一体として譲渡して、譲渡益をあん分し、夫婦それぞれの特別控除の限度額の合計額を控除するような恣意的な計算を行うことは許されないとした事例
- 退職手当金で購入した中期国債ファンドの解約金を市へ寄付した場合には、租税特別措置法第70条の適用があるとした事例
- 住宅の共有持分を追加取得したことは、租税特別措置法施行令第26条第2項の「居住の用に供する家屋を2以上有する場合」には該当しないとした事例
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