相続税の物納申請却下処分等取消請求事件|平成10(行ウ)47

[相続税法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。

行政事件裁判例(裁判所)

平成12年10月6日 [相続税法]

判示事項

国税局長がした共同相続人の一部の者からの物納申請に対する却下処分について,遺産分割協議が調うまで同却下処分は留保すべきであるのにこれを行ったこと,また,同却下処分に先立ち物納財産変更要求処分をすべきであったのにこれを怠ったことなどが違法であるとしてした同却下処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

国税局長がした共同相続人の一部の者からの物納申請に対する却下処分について,遺産分割協議が調うまで同却下処分は留保すべきであったのにこれを行ったこと,また,同却下処分に先立ち物納財産変更要求処分をすべきであったのにこれを怠ったことなどが違法であるとしてした同却下処分の取消請求につき,物納制度は金銭納付に代わる相続税納付の単なる手段にすぎず,国が物納財産を換価し,その代金をもって財政収入に充てることができることが前提である上,相続税は金銭による一括納付が原則であって,通常の納税者との均衡上,特段の理由なく長期間,物納申請に対する処分を留保したまま徴税を猶予することは避けるべきであるし,相続財産の散逸,価値の下落等により相続税の確実な徴収が妨げられるおそれなどから,物納申請者に対する許可または却下はできるだけ迅速にされるべきであるところ,物納不適格財産であることが明白な場合には,当該不適当事由の解消が極めて早期かつ確実に予定されているなどの特段の事由がない限り,税務署長は物納申請の却下処分を猶予すべき義務を負わず,また,相続税法42条ただし書は,物納財産変更要求処分をするかどうかを同署長の裁量権にゆだねたものと解するのが相当であるとした上,前記却下処分当時,前記共同相続人間において遺産分割の協議は成立しておらず,前記物納申請に係る対象不動産も未分割であったことなどから,遺産分割協議が成立していない段階で同不動産を処分することは通常著しく困難であって,金銭による税納付があった場合と同等の経済的利益を国において将来現実に確保することは困難であるから,同不動産は物納不適格財産に該当し,前記不動産処分時において遺産分割協議がごく近いうちに成立する確実な見込みがあったなど前記特段の事情も認められず,また,このような遺産分割協議の事情や前記物納申請をした者も,前記不動産が物納不適格財産であり,同申請がいずれ却下されることとなる事情を十分に知り得たなどの具体的事情に照らすと,前記国税局長が,前記要求処分を行わなかったことについて裁量権の逸脱も認められないなどとして,前記請求を棄却した事例
裁判所名
大阪地方裁判所
事件番号
平成10(行ウ)47
事件名
相続税の物納申請却下処分等取消請求事件
裁判年月日
平成12年10月6日
分野
行政
全文
全文(PDF)
裁判所:行政事件裁判例
相続税の物納申請却下処分等取消請求事件|平成10(行ウ)47

関連するカテゴリー

関連する裁決事例(相続税法)

  1. 相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例(平成21年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年4月18日裁決)
  2. 遺産分割の一部が財産評価基本通達7−2(1)注書に定める不合理分割に当たる場合には、その不合理分割に当たる部分のみ分割前の画地により評価単位を判定し、それ以外の部分は分割後の画地により評価単位を判定するのが相当であるとした事例
  3. 高圧線が架設されている線下地の相続税評価額を更地価額の20パーセント減で評価した事例
  4. 存続期間が100年を超える地上権の設定であっても、建物の所有を目的とする場合には借地法の法的保護の下にあるから、相続税法第23条“地上権及び永小作権の評価”の適用はないとした事例
  5. 貸付金債権につきその回収が不可能又は著しく困難と見込まれる事実は認められないのでその元本価額で評価すべきとした事例
  6. 共有土地の持分の一部である財産の物納は、「管理又は処分をするのに不適当」と判断した事例
  7. 鉄道用地下トンネルを埋設するための区分地上権は相続税法第23条に規定する地上権には含まれないとした事例
  8. 被相続人の妻名義及び子名義の預貯金及び有価証券がその管理状況及び原資等から相続財産であると認定した事例
  9. 財産評価基本通達185のかっこ書に定める「通常の取引価額」は、評価会社の帳簿価額よりも鑑定評価書の鑑定評価額によることが相当であるとした事例
  10. 申告されなかった相続人名義の預金等について、被相続人の財産であるとの明確な認識はなかったことなどから、相続税法第19条の2第5項に規定する「隠ぺい仮装行為」はないとした事例
  11. 請求人ら名義の関係会社の株式は相続財産と、請求人ら名義の定期預金は請求人らが生前に贈与により取得したものと認定した事例
  12. 有料老人ホームの入居契約に基づき返還金受取人が取得した入居一時金に係る返還金請求権に相当する金額の経済的利益は、相続税法第9条でいう「みなし贈与」により取得したものとした事例
  13. 本件貸駐車場は、不整形地ではあるがその程度が比較的小さいので、不整形地補正は適用できず、また、本件賃貸マンションの敷地と一体利用とは認められないので、当該入居者の利用部分は貸家建付地の評価ができないとして請求人らの主張を排斥した事例
  14. 遺産分割調停の成立に基づきされた他の共同相続人からの更正の請求に係る減額更正処分の後に、請求人に対して行われた相続税法第35条第3項第1号の規定に基づく増額更正処分に違法はないとした事例
  15. 医療法人の出資持分の評価は財産評価基本通達に定める方法により算定した価額が相当であるとした事例
  16. 香港に所在する財産について、相続税の課税財産と認定するとともに、その時価を香港政庁に提出された遺産宣誓書に記載されている各財産の価額の邦貨換算額により評価した原処分を相当と認めた事例
  17. 税務署長に対し底地の取得者と借地権者との連署による借地権者の地位に変更がない旨の申出書を提出している場合において、底地の取得者である相続人が借地権者である被相続人の建物を取り壊して建物を新築しても被相続人の借地権者の地位に変更はないというべきであり、借地権は相続開始まで被相続人に留保されたものと認められるとした事例
  18. 資金の移動が、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当するとした事例
  19. 相続により取得した土地は、宗教法人である寺院の尊厳を維持するための土地であるから非課税財産である旨の請求人の主張を排斥した事例
  20. 取引相場のない株式の評価を類似業種比準方式で行うに当たって、評価会社の1株当たりの配当金額及び利益金額を最大5年間までさかのぼって算定すべきである旨の請求人の主張を排斥した事例

※最大20件まで表示

税法別に税務訴訟事例を調べる

当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。


戦略的に節税するための無料ツール

一括節税計算機
※所得を入力して、税目別に税額を一括比較する
所 得万円 *必須
減少額万円 *任意  設定  消去
[対応税目]*法人税*所得税*消費税*相続税*贈与税*利子所得*配当所得*給与所得*退職所得*譲渡所得(土地)*譲渡所得(株式)*譲渡所得(総合)*一時所得*雑所得(年金)*雑所得(FX等)

*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください

このページを他の人に教える


ご意見ご要望をお聞かせ下さい

 過去のご意見ご要望については、ご意見ご要望&回答一覧で確認できます。

利用規約をお読み下さい

 本サイトのご利用にあたっては利用規約を必ずお読み下さい。

広告を募集しています

 本サイトでは掲載していただける広告を募集しております。詳しくは広告掲載をご覧ください。
新着情報 RSS
01/29 生命保険で節税
02/08 所得税の延納(利子税)で節税
09/26 経営セーフティ共済で節税
02/22 役員報酬(事前確定届出給与)で節税
02/19 不動産(再建築費評点基準表)で節税
新着情報を見る
節税対策ブログ
02/13 所得税確定申告で誤りの多い12項目(2019年度版)
01/29 死亡退職金の受取人(役員退職慰労金規程と相続税)
02/22 所得税確定申告で誤りの多い事例とは
02/02 クレジットカードポイント等の税務処理
02/01 ふるさと納税特産品と株主優待の税務処理
節税対策ブログを見る
アクセス数
今日:342
昨日:457
ページビュー
今日:768
昨日:1,186

ページの先頭へ移動