所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・岐阜地方裁判所平成6年(行ウ)第2号)|平成12(行コ)37
[税額控除][所得税法][推計課税][消費税法][仕入税額控除]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成14年4月18日 [税額控除][所得税法][推計課税][消費税法][仕入税額控除]判示事項
1 貨物運送業を営む者に対する所得税及び消費税の更正処分につき,推計の必要性があるとされた事例2 貨物運送業を営む者に対し推計課税の方法によってされた所得税の更正処分が,適法とされた事例
3 消費税法(平成6年法律第109号による改正前)30条7項にいう帳簿又は請求書等を「保存しない場合」に当たるとして,税務署長が同条1項による仕入税額控除を適用しないでした消費税の更正処分が,適法とされた事例
裁判要旨
1 貨物運送業を営む者に対する所得税及び消費税の更正処分につき,調査官が納税者と面接することができたのは前記調査官が調査のため最初に臨場してから約5か月経過後であること,その際にも納税者は帳簿書類等の提示を全くしようとしなかったこと,最終的に納税者から所得金額を確認するに足りる資料の提出は一切なく,かつ,納税者が税務調査に必ずしも十分な協力をしたものといえない状況の下においては,推計の必要性があるとされた事例2 貨物運送業を営む者に対し推計課税の方法によってされた所得税の更正処分につき,推計の必要性及び合理性が認められ,納税者の実額反証については,納税者が実額を主張して推計による課税を争う場合には,実額を主張する側において,当該年分におけるすべての収入及びこれに対応する支出の額を主張立証すべきであるとした上,前記納税者の主張する運送料,手数料,外注費及びその他の経費の額が,それぞれ係争に係る年度分の同人の事業に係るすべての収入及びこれに対応する支出であると認めるに足りないとして,前記処分を適法とした事例
3 消費税法(平成6年法律第109号による改正前)30条7項にいう帳簿又は請求書等を「保存しない場合」に当たるとして,税務署長が同条1項による仕入税額控除を適用しないでした消費税の更正処分につき,同項の「保存」とは事業者が帳簿等を所持又は保管していることをいうだけではなく,法令の規定する期間を通じて,法令の規定する場所において,税務職員の適法な税務調査によりその内容を確認することができる状態での保存を継続していることを意味するところ,通常は,税務調査等のために税務職員により帳簿等の適法な提示要求がされたにもかかわらず,納税者が正当な理由なくこれに応じなかった事実が主張立証されると,その当時において,法定の要件を満たした状態での帳簿等の保存がなかったことが推認されるとした上,税務職員が,税務調査において帳簿等の保存及び内容を確認するため,社会通念上相当な程度の努力をし,帳簿等の適法な提示要求をしたのに対し,納税者は,自己の仕事の都合を優先させるため,又は税務職員がした納税者の取引先等に対する反面調査に対する不満からこれに応じなかったものとみられ,提示拒否の正当な理由とは認められないことからすれば,税務調査の当時において,法定の要件を満たした状態での帳簿等の保存がなかったものと推認されるから,同項の帳簿等を「保存しない場合」に当たり,同条1項による仕入税控除額を適用することはできないとして,前記処分を適法とした事例
- 裁判所名
- 名古屋高等裁判所
- 事件番号
- 平成12(行コ)37
- 事件名
- 所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・岐阜地方裁判所平成6年(行ウ)第2号)
- 裁判年月日
- 平成14年4月18日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・岐阜地方裁判所平成6年(行ウ)第2号)|平成12(行コ)37
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(税額控除>所得税法>推計課税>消費税法>仕入税額控除)
- マッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等に該当するので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないとされた事例
- 消費税の課税仕入れの時期は、建物建築契約にあっては目的物たる建物の引渡日と、また、建物建設に関するコンサルタント契約にあっては役務の全部の提供を受けるのが完了した日と解するのが相当とされた事例
- 事業者が販売したことによる自己の商品代金債権を信販会社に譲渡等することに伴い支払う手数料は、消費税法上の非課税取引に該当するとした事例
- 店頭における商品の仕入れに際し、仕入先が言うままの名称を帳簿等に記載している仕入取引については、その名称が真実のものでないと推認されるとして、消費税の仕入税額控除は適用できないとした事例
- 絵画美術品の仕入先元帳等に記載された取引の相手方の氏名又は名称について、その氏名又は名称が虚偽のものと推定されるとして、消費税の仕入税額控除を適用することはできないとした事例
- 悉皆業(白生地卸売業及び染色加工に係る事業)は、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供事業」に該当し、第四種事業に当たるとした事例
- 簡易課税制度を選択していた課税事業者が、免税事業者に該当する課税期間について課税事業者選択届出書を提出したとしても、当該課税期間において本則課税を適用して消費税の仕入れに係る消費税額を算出することは認められないとした事例
- 請求人が取得した賃貸用建物は課税期間内に引渡しを受けているから消費税の仕入税額控除を認めるべきであるとした事例
- 「消費税簡易課税制度選択届出書」の効力は、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」の提出によっては失効しないとした事例
- 帳簿等には、仕入先としてその氏名の氏に相当する部分が記載されているのみであり、また、請求人は、本件調査の際に本件仕入先を明らかにして記載不備を補完しようとしなかったことから、帳簿又は請求書等の保存がない場合に該当するとして、仕入税額控除の適用は認められないとした事例
- 請求人の行っている事業は、第三種事業に該当するものではなく、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業であり、第四種事業に該当するとした事例
- 横断地下道の便益は、請求人のように負担金を支払った者のみが支払っていない者に比して有利な条件で利用できるものとなっていないので、課税仕入れに該当しないとした事例
- 住宅として賃貸中の建物を譲渡目的で取得した場合には、仕入税額控除における個別対応方式では「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に区分されると判断した事例
- 仕入税額控除に係る請求書等には、真実の仕入先の氏名等が記載されておらず、また、その仕入先が真実であると信じざるを得ない状況にはなかったとして仕入税額控除を否認した事例
- 海砂を採取する権利の取得に際し、利害関係のある漁業協同組合の同意を得るために支払った漁場迷惑料は、仕入税額控除の対象となる課税仕入れの対価とはならないとした事例
- 外国法人から日本における独占販売権を取得した取引は国外取引であり、その対価の支払いは課税仕入れに該当しないとした事例
- 消費税の確定申告書を法定申告期限までに提出できなかったこと及び簡易課税制度選択届出書を提出できなかったことは、原処分庁の説明及び周知努力の不足のためであるから、簡易課税制度を適用して消費税等の納付すべき税額を計算すべきであり、無申告加算税の賦課決定処分も違法であるとの請求人の主張を、確定申告書の提出及び簡易課税制度の選択は請求人自身の責任と判断においてなされるべきであり、税法の単なる不知により不利益を受けたとしても、納税者自身が甘受せざるを得ないとして排斥した事例
- 請求人が取得したマンションの売買代金の支払日、所有権移転登記をした日、抵当権が設定された日、合鍵等の引渡しの日等によれば、当該マンションは本件課税期間より前に引渡しを受けたものと認められるから、当該マンションの取得は本件課税期間の課税仕入れには該当しないと判断した事例
- いわゆる個別対応方式により課税仕入れに係る消費税額を計算する場合における「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」及び「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」の区分は個々の課税仕入れについて行う必要があるとした事例
- 歯科技工を営む者が自ら原材料等を購入して、歯科補てつ物を製作し受注先に納入している場合の消費税の簡易課税制度における事業区分は、第四種事業(サ−ビス業)に該当するとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。