所得税更正処分等取消請求事件|平成12(行ウ)134
[所得税法][国税通則法][過少申告加算税][重加算税]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成14年12月6日 [所得税法][国税通則法][過少申告加算税][重加算税]判示事項
1 納税申告手続を委任された税理士が隠ぺい仮装行為に基づき過少申告をしたとして,納税者本人に対してされた重加算税賦課決定処分が,取り消された事例 2 納税申告手続を委任された税理士が過少申告をしたとして,納税者本人に対してされた過少申告加算税賦課決定処分が,適法とされた事例 3 納税申告手続を委任された税理士に,国税通則法70条5項にいう「偽りその他不正の行為」があったとして,納税者本人に対し,同項の期間内にされた更正処分が,適法とされた事例裁判要旨
1 納税申告手続を委任された税理士が隠ぺい仮装行為に基づき過少申告をしたとして,納税者本人に対してされた重加算税賦課決定処分につき,同人は,前記税理士が適正な確定申告手続を行うものと信頼して同税理士に同手続を委任したこと,前記隠ぺい仮装行為は,税理士と税務署職員とが共謀し,納税者から受領した金員を騙取するという通常予想し得ない不正行為であることなどからすれば,前記税理士が行った前記隠ぺい仮装行為を,納税者本人の行為と同視することは相当でなく,国税通則法68条1項にいう隠ぺい又は仮装の行為があったということはできないとして,前記処分を取り消した事例 2 納税申告手続を委任された税理士が過少申告をしたとして,納税者本人に対してされた過少申告加算税賦課決定処分につき,同人は,税務署の係官から教示された税額を大幅に下回る税額を前記税理士から示され,同税理士にその根拠を確認することなく納税申告手続を委任し,同手続終了後も,返却された書類等の確認をするなどしていないことからすれば,前記納税者本人には,代理人の選任,監督について過失があったというべきであり,同人が前記税理士と税務署職員との共謀による脱税行為の被害者であることを考慮しても,同人に過少申告加算税を課すことが不当あるいは酷であるとまでは認められないから,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があったとはいえないとして,前記処分を適法とした事例 3 納税申告手続を委任された税理士に,国税通則法70条5項にいう「偽りその他不正の行為」があったとして,納税者本人に対し,同項の期間内にされた更正処分につき,同項は,「偽りその他不正の行為」を行ったのが納税者本人であるか否か,また,納税者自身において「偽りその他不正の行為」の認識があるか否かにかかわらず,客観的に「偽りその他不正の行為」によって税額を免れた事実が存在する場合には適用されると解するのが相当であるとした上,前記税理士が内容虚偽の必要経費等を記載して税額を零とする確定申告書を提出するとともに,税務署職員にその黙認を依頼して贈賄を行ったことは,納税者本人の不正行為の認識の有無にかかわらず,同項にいう「偽りその他不正の行為」に該当するというほかなく,同項の適用により前記処分は適法な期間内に行われたものと認められるなどとして,前記処分を適法とした事例- 裁判所名
- 東京地方裁判所
- 事件番号
- 平成12(行ウ)134
- 事件名
- 所得税更正処分等取消請求事件
- 裁判年月日
- 平成14年12月6日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分等取消請求事件|平成12(行ウ)134
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