役員報酬(事前確定届出給与)で節税 (*2015年版)
事前確定届出給与を役員賞与のように活用して節税する。事前確定届出給与の要件や注意点。 (*2015年版)

所得税更正処分取消等請求事件,所得税更正処分等取消請求事件|平成14(行ウ)138等

[所得税法][給与所得][一時所得][国税通則法][過少申告加算税]に関する行政事件裁判例(裁判所)。

行政事件裁判例(裁判所)

平成16年2月27日 [所得税法][給与所得][一時所得][国税通則法][過少申告加算税]

判示事項

1 米国法人が,子会社である日本法人に勤務する従業員に付与したストックオプション(特定の株式を,一定の条件の下,一定の期間内に,市場価格ではなく,あらかじめ定められた権利行使価格で取得することのできる権利ないし契約上の地位)及びその権利行使益(権利行使時における株式の市場価格と被付与者の払い込んだ権利行使価格との差額)は,所得税法上の給与所得に当たる。 
2 勤務していた日本法人の親会社である米国法人から付与されたストックオプション(特定の株式を,一定の条件の下,一定の期間内に,市場価格ではなく,あらかじめ定められた権利行使価格で取得することのできる権利ないし契約上の地位)を行使したことにより取得した権利行使益(権利行使時における株式の市場価格と被付与者の払い込んだ権利行使価格との差額)が,所得税法上の給与所得に該当するとしてされた所得税の更正処分が違法であるとして,納税者が当該権利行使益を一時所得に区分して計算した上でした取消請求が,棄却された事例 
3 勤務していた日本法人の親会社である米国法人から付与されたストックオプション(特定の株式を,一定の条件の下,一定の期間内に,市場価格ではなく,あらかじめ定められた権利行使価格で取得することのできる権利ないし契約上の地位)を行使したことにより取得した権利行使益(権利行使時における株式の市場価格と被付与者の払い込んだ権利行使価格との差額)が,所得税法上の給与所得に該当するとしてされた所得税の更正処分が違法であるとして,納税者が当該権利行使益を一時所得に区分して計算した上でした,過少申告加算税賦課決定の取消請求が,一部認容された事例
 

裁判要旨

1 米国法人が,子会社である日本法人に勤務する従業員に付与したストックオプション(特定の株式を,一定の条件の下,一定の期間内に,市場価格ではなく,あらかじめ定められた権利行使価格で取得することのできる権利ないし契約上の地位)及びその権利行使益(権利行使時における株式の市場価格と被付与者の払い込んだ権利行使価格との差額)につき,前記ストックオプションは,前記米国法人が,前記子会社の従業員が子会社に優れた労務を提供し,貢献しているからこそ,報奨を与えて,職務への精励に報いることにより,一層の職務への精励と勤務の継続を確保し,企業グループの業績を上げるために,重要ないし優秀な者を選定して付与したものであって,我が国でいう「賞与」の性質を有するものであり,ただ,その行使による利益の有無及び多寡が,当該従業員等の職務精励の継続いかんによって影響を受け得るように特別に工夫された労務の対価の給付の新たな一方式であると考えられ,このようなストックオプションの権利行使益は,その発生の有無及び多寡が,株価の変動及び従業員等による権利行使時期の判断によって左右されるという特殊性を有し,流動的であって,提供された労務の質,量と実際に得られた利益の額との相関関係は希薄であるが,そうであっても,ストックオプションの趣旨,目的,仕組み等に照らすと,その権利行使益はたまたま生じたものとか,被付与者の投資的判断による運用益などではなく,当該米国法人ないし同社を中心とする企業グループから,子会社に対する貢献と職務への精励及びその継続に対して給付されたものであり,付与時までの労務の提供及び付与時から権利行使時までの間の労務の提供の対価であるということができ,当該従業員が雇用されていた子会社ではなく,その親会社である米国法人がストックオプションを付与したという特殊性はあるが,当該従業員が前記子会社に勤務していたからこそ付与されたものであって,この点は,権利行使益を雇用契約又はこれに類する原因に基づいて提供された労務の対価と解することの妨げとはならないことから,前記ストックオプション及びその権利行使益は,所得税法上の給与所得に当たる。 
2 勤務していた日本法人の親会社である米国法人から付与されたストックオプション(特定の株式を,一定の条件の下,一定の期間内に,市場価格ではなく,あらかじめ定められた権利行使価格で取得することのできる権利ないし契約上の地位)を行使したことにより取得した権利行使益(権利行使時における株式の市場価格と被付与者の払い込んだ権利行使価格との差額)が,所得税法上の給与所得に該当するとしてされた所得税の更正処分が違法であるとして,納税者が当該権利行使益を一時所得に区分して計算した上でした取消請求につき,前記ストックオプションは,前記米国法人が子会社の従業員に対し,報奨を与えて,職務への精励に報いることにより,一層の職務への精励と勤務の継続を確保し,企業グループの業績を上げるために,重要ないし優秀な者を選定して付与したものであり,権利行使益も,前記ストックオプションの趣旨,目的,仕組み等に照らすと,たまたま生じたものとか,被付与者の投資的判断による運用益などではないから,前記ストックオプション及びその権利行使益は,当該米国法人ないし同社を中心とする企業グループから,子会社に対する貢献と職務への精励及びその継続に対して給付されたものであり,付与時までの労務の提供及び付与時から権利行使時までの間の労務の提供の対価であるということができ,所得税法上の給与所得に該当するとして,前記請求を棄却した事例 
3 勤務していた日本法人の親会社である米国法人から付与されたストックオプション(特定の株式を,一定の条件の下,一定の期間内に,市場価格ではなく,あらかじめ定められた権利行使価格で取得することのできる権利ないし契約上の地位)を行使したことにより取得した権利行使益(権利行使時における株式の市場価格と被付与者の払い込んだ権利行使価格との差額)が,所得税法上の給与所得に該当するとしてされた所得税の更正処分が違法であるとして,納税者が当該権利行使益を一時所得に区分して計算した上でした,過少申告加算税賦課決定の取消請求につき,ストックオプション及びその権利行使益は所得税法上の給与所得に該当し,前記更正処分は適法であるが,ストックオプションの権利行使益の所得区分については,納税者としては,課税庁の過去の運用に由来する一時所得とする見解と給与所得とする見解の対立が残っている中で,その過去の運用に沿った申告をしたにすぎず,課税庁側も,前記権利行使益を給与所得として課税するという運用の変更を,規則,通達等により納税者に明示することを怠っていた以上,更正処分後の申告であっても,前記納税者の確定申告の一部には国税通則法65条4項の「正当な理由」が認められ,その限度で過少申告加算税賦課決定は違法であるとして,前記請求を一部認容した事例
裁判所名
東京地方裁判所
事件番号
平成14(行ウ)138等
事件名
所得税更正処分取消等請求事件,所得税更正処分等取消請求事件
裁判年月日
平成16年2月27日
分野
行政
全文
全文(PDF)
裁判所:行政事件裁判例
所得税更正処分取消等請求事件,所得税更正処分等取消請求事件|平成14(行ウ)138等

関連するカテゴリー

関連する裁決事例(所得税法>給与所得>一時所得>国税通則法>過少申告加算税)

  1. 消費税及び譲渡割に係る加算税の基礎となる税額は、それぞれに係る「納付すべき税額」を計算し、次いで、各々の「納付すべき税額」を合計した額であるとした事例
  2. 還付を受けるための申告書を提出した者が更正を受けたときには、その者が消費税の課税事業者でない場合であっても、国税通則法第65条第1項にいう「納税者」に該当するとした事例
  3. 過少申告となった原因は、単なる記載誤り及び法律に明示されていない事項の解釈誤りによるものであり、悪意がないから、社会通念的には「正当理由がある場合」に該当する旨の請求人の主張を排斥した事例
  4. 贈与により取得した株式を株式発行会社の法人税の確定申告書に記載された所得金額等を基に評価したことにより贈与税の過少申告をしたことについて正当な理由はないとした事例
  5. 調査担当者の電話による質問の後に提出された修正申告書は、更正があるべきことを予知して提出されたものであると認定した事例
  6. 申告相談担当職員による誤った指導等はなく、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないと判断した事例
  7. 原処分庁の調査担当職員が請求人の消費税に係る経理処理を是正しなかったとしても、国税通則法第65条第4項及び第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
  8. 還付申告書の提出による還付金を受け取っていない場合であっても、修正申告により還付金の額に相当する税額が減少する場合は過少申告加算税賦課の対象になるとした事例
  9. 債権償却特別勘定の設定に関する税務署長の認定が相当期間なされなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例
  10. 修正申告書の提出について、国税通則法第65条第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しないとして、これを排斥した事例
  11. 納税相談に際し、請求人は買換えであることを申し出ていない等の状況の下で、担当職員が請求人提示資料中の、登記済権利証添付書類の内容についてまで十分検討しなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する過少申告加算税を賦課しない場合の正当な理由があるとは認められないとした事例
  12. 申告もれの土地譲渡について具体的に指摘した来署依頼状の送付後になされた修正申告書の提出は、国税通則法第65条第5項に規定する調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきであるとした事例
  13. 過少申告加算税の対象となる相続税の税額は、申告期限までに納付すべき税額と納税猶予税額との合計額であるとした事例
  14. 期限後に提出された申告書は還付請求申告書に該当するので、更正処分により賦課すべき加算税は過少申告加算税になるとして無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例
  15. 法定申告期限内に原処分庁が還付申告に係る誤りを指摘しなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例
  16. 「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない」ことの判断は、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して行うべきであるとした事例
  17. 調査開始前に、請求人から関与税理士に従業員の横領行為発覚に伴う修正申告書の作成を依頼し、調査初日、同税理士から調査担当者に対して事実関係を説明するなどした後の修正申告書の提出は、「更正があるべきことを予知してされた」修正申告書の提出には当たらないとした事例
  18. 公共事業施行者が誤って発行した公共事業用資産の買取り等の証明書等に基づいて、租税特別措置法第33条の4第1項の規定による特例を適用して確定申告したことが、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないと判断した事例
  19. 税務署における資料の調査により請求人の給与所得の申告が漏れているものと判断した上で、尋ねたい事項や持参を求める書類を具体的に明記した文書を送付するなどの一連の過程から、国税通則法第65条第5項の「調査」があったと判断した事例
  20. 国税通則法第65条第4項にいう「正当な理由があると認められるものがある場合」には、過少に税額を申告したことが納税者の税法の不知又は誤解であるとか、納税者の単なる主観的な事情に基づくような場合までを含むものではないとした事例

※最大20件まで表示

税法別に税務訴訟事例を調べる

当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。


戦略的に節税するための無料ツール

一括節税計算機
※所得を入力して、税目別に税額を一括比較する
所 得万円 *必須
減少額万円 *任意  設定  消去
[対応税目]*法人税*所得税*消費税*相続税*贈与税*利子所得*配当所得*給与所得*退職所得*譲渡所得(土地)*譲渡所得(株式)*譲渡所得(総合)*一時所得*雑所得(年金)*雑所得(FX等)

*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください

このページを他の人に教える


ご意見ご要望をお聞かせ下さい

 過去のご意見ご要望については、ご意見ご要望&回答一覧で確認できます。

利用規約をお読み下さい

 本サイトのご利用にあたっては利用規約を必ずお読み下さい。

広告を募集しています

 本サイトでは掲載していただける広告を募集しております。詳しくは広告掲載をご覧ください。
新着情報 RSS
01/29 生命保険で節税
02/08 所得税の延納(利子税)で節税
09/26 経営セーフティ共済で節税
02/22 役員報酬(事前確定届出給与)で節税
02/19 不動産(再建築費評点基準表)で節税
新着情報を見る
節税対策ブログ
02/13 所得税確定申告で誤りの多い12項目(2019年度版)
01/29 死亡退職金の受取人(役員退職慰労金規程と相続税)
02/22 所得税確定申告で誤りの多い事例とは
02/02 クレジットカードポイント等の税務処理
02/01 ふるさと納税特産品と株主優待の税務処理
節税対策ブログを見る
アクセス数
今日:279
昨日:418
ページビュー
今日:766
昨日:1,786

ページの先頭へ移動