更正処分をする場合の相続税法第17条のあん分割合は、原則として端数調整することなく各共同相続人の相続税額を計算するのが相当であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2012/12/14 [相続税法][税額の計算][相続税の税額計算]《ポイント》 本事例は、相続税の更正処分をする場合に、相続税法第17条のあん分割合について、共同相続人が当初申告において選択した端数調整方法を用いることができるのは、当該更正処分の前後において各共同相続人全員の相続税の課税価格に増減がない場合等、極めて限定的な場合であり、それ以外の場合には、端数調整することなく相続税額を計算するのが相当としたものである。
《要旨》 原処分庁は、相続税の本件各更正処分において、相続税法第17条《各相続人等の相続税額》のあん分割合について、請求人らが当初申告において選択した端数調整方法により相続税額を計算している。
しかしながら、相続税法基本通達17−1《あん分割合》は、更正処分をする場合において、相続又は遺贈により財産を取得した者(財産取得者)全員が選択した端数調整方法によって相続税額を計算することができる旨定めているものの、この定めは任意とするものであり、これは、各財産取得者が当初申告した取得財産及びその評価額につき、更正においては異なる判断がされることが多く、各財産取得者が当初申告において選択した端数調整方法を用いると、各財産取得者全員又は一部の者の意に反する結果となるおそれがあるからであると解される。したがって、更正する場合において、各財産取得者が当初申告において選択した端数調整方法を用いることができるのは、例えば、更正の前後において各財産取得者全員の相続税の課税価格に増減がない場合等、極めて限定的に解するのが相当である。本件においては、請求人らの各課税価格は、本件各更正処分の前後おいて異なることから、本件各更正処分におけるあん分割合は、請求人らが選択した端数調整方法に依拠せずに、端数調整することなく、相続税額を計算するのが相当である。
《参照条文等》 相続税法第17条 相続税法基本通達17−1
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 更正処分をする場合の相続税法第17条のあん分割合は、原則として端数調整することなく各共同相続人の相続税額を計算するのが相当であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>税額の計算>相続税の税額計算)
- 遺産に係る基礎控除額を計算する場合の相続人の数は、実際の相続人について該当する相続人の資格の数によるのではなく、実際の相続人の数そのものによるとされた事例
- 本件相続によりF国で課された相続税額のうち相続税法第20条の2の規定により控除できるのは、F国内に所在する相続財産に対応する部分の税額であり、これを超える部分の税額については控除できないとした事例
- 相続人である配偶者が、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたとは認められず、相続税法第19条の2第5項に規定する隠ぺい仮装行為はなかったとした事例
- 申告されなかった相続人名義の預金等について、被相続人の財産であるとの明確な認識はなかったことなどから、相続税法第19条の2第5項に規定する「隠ぺい仮装行為」はないとした事例
- 配偶者の税額軽減に係る承認申請の却下処分を適法とした事例
- 遺産分割がなされていない場合であっても、配偶者が金融機関から払戻しを受けた法定相続分相当の預金は、配偶者にかかる相続額の軽減の適用上、「分割された財産」として更正の請求の対象となるとされた事例
- 更正処分をする場合の相続税法第17条のあん分割合は、原則として端数調整することなく各共同相続人の相続税額を計算するのが相当であるとした事例
- 相続税の総額の計算に当たり、被相続人並びにF及びGは養子縁組により養母を同じくするが、Fは被相続人と実父母を同じくし、Gは被相続人と実父母を異にするから、F及びGは、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(F)と父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(G)となり、法定相続分はそれぞれ3分の2と3分の1となるとした事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。