実際に負担する金額が確定していない葬式費用は、民法第900条から902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合で計算すべきとした事例
[相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2012/05/15 [相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除]《ポイント》 本事例は、遺産の全部を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言が相続分の指定としての性質を有するとの解釈を前提に、請求人に指定された相続分は全部であるとの認定の下、葬式費用の負担額について認定したものである。
《要旨》 原処分庁は、本件相続における葬式費用(本件葬式費用)は、請求人以外の相続人により支払われていることから、当該相続人の課税価格の計算上控除すべきである旨主張する。
しかしながら、相続税法第13条第1項《債務控除》は、相続又は遺贈により取得した財産について課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人に係る葬式費用等のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による旨規定し、相続税法基本通達13−3《その者の負担に属する部分の金額》は、その者の実際に負担する金額が確定していないときは、民法第900条《法定相続分》から902条《遺言による相続分の指定》までの規定による相続分又は包括遺贈の割合に応じて負担する金額とする旨定めているところ、本件葬式費用については、請求人と当該相続人との間で負担額が確定しておらず、遺言により請求人の相続分が指定されていることから、当該指定された相続分に応じ、その全額を請求人の課税価格の計算上控除するのが相当である。
《参照条文等》 相続税法基本通達13−3
《参考判決・裁決》 最高裁平成21年3月24日第三小法廷判決(民集63巻3号427頁)
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 実際に負担する金額が確定していない葬式費用は、民法第900条から902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合で計算すべきとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>相続税の課税価格の計算>債務控除)
- 土地が物上保証に供されているとしてもその土地の評価額と同額の債務があるとはいえないとした事例
- 遺産分割協議時に、共同相続人間で分割協議対象財産として認識されていない財産があった場合には、遺産分割協議書に「本書に記載のない財産は特定の者に帰属する」旨の記載があったとしても、当該財産は未分割財産とみるのが相当であるとした事例
- 相続開始時において、主たる債務者は返済不能の状況に至っていないので、被相続人の保証債務額は、債務控除の対象にならないとして請求人の主張を排斥した事例
- 相続税法第55条にいう「相続分の割合」とは、共同相続人が他の共同相続人に対して、その権利を主張することができる持分的な権利の割合をいうものとした事例
- 借地人に対する立退料支払債務は、確実と認められる債務といえ、債務控除の対象になると認められるが、借地権の引渡請求権(立退料の金額と同額)が相続財産となるので相続税の課税価格は減額されないとした事例
- 被相続人の損害賠償債務は、制限納税義務者である請求人の相続税の課税上、控除すべき債務には当たらないとした事例
- 原処分庁が配偶者が取得したと主張する財産は、遺産分割協議以前より存在し、当該遺産分割協議で子が取得したものと認めるのが相当であるから、配偶者が相続により取得した財産はなく、相続税法第19条に規定する相続開始前3年以内の贈与加算の適用もないとした事例
- 相続開始後に成立した和解に基づく債務は相続税法第14条に規定する債務に該当しないとした事例
- 相続財産の額から控除される債務に関し、貸宅地の立退きの合意は相続開始後であり、請求人は申告上当該宅地を貸宅地として評価していること等から、立退きに係る支払債務は確実と認められる債務に該当しないとした事例
- 土地区画整理事業において見込まれる減歩部分に相当する金額は相続債務ではないとした事例
- 被相続人名義で取得した不動産及び当該不動産の取得資金に充てられた借入金につき、相続財産及び被相続人の債務とは認められないとした事例
- 遺贈に対して遺留分による減殺請求がなされている場合であっても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、受遺者の課税価格はそれがないものとして計算した金額によるとされた事例
- 無利息の預り保証金及び敷金に係る債務控除額は、その元本価額から、通常の利率による返還期までの間に享受する経済的利益の額を控除した額によるのが相当であるとした事例
- 林道工事に係る受益者負担金は、その納入通知が相続開始後になされているので債務控除の対象にならないとした事例
- 未分割遺産に係る相続税の課税価格の計算は、いわゆる穴埋方式によるべきであるとした事例(平成22年5月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成27年6月3日裁決)
- 1. 書面による贈与契約であってもその契約の効果が真実生じているか否かを実質的に判断するべきであるとした事例2. 複数の連帯保証人と物上保証人がある場合の負担割合は平等であるとした事例
- 相続開始前3年以内に贈与により取得した財産は贈与税の更正・決定等の期間経過後であっても相続税の課税価格に加算すべきであるとした事例
- 遺産分割協議は有効に成立しており、当該遺産分割協議に基づく決定処分は違法とは認められないとした事例
- 請求人が、被相続人の財産から親族に支払った金員は、相続開始後に成立した贈与契約に基因するもので、相続開始の際に現に存する確実な債務ではないとした事例
- 可分債権である貸付金債権については、可分債権であることをもって分割の対象とならない財産とみるのは相当ではなく、共同相続人間で実際に分割が行われた場合、実際に分割が行われないまでも、相続分に応じて取得する旨の共同相続人全員の合意がされた場合、一部の相続人が可分債権に対する自己の相続分相当の権利を行使した場合など、明らかにその全部又は一部の帰属が確定している場合を除き、他の未分割財産と一体として取り扱うのが相当であるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。